どういう意味?

「ことば」の解釈斜め読み

「これ何? 手洗 」

  「何これ? 」:火宅
 
 「三界は安きことなく、なお火宅のごとし。」
              (法華経
 
 三界はわが身の事であり、絶えず湧き出ずる渇欲に
悩まされ、惑わされ、苦しむ。
 火だるまになって駆けずり回る凡夫の姿がそこにある。
 
閑話休題】:手洗
 ハンガリー人の、ゼンメルワイス医師は、感染予防(手洗い)の
父と呼ばれています。
 
 彼は「産褥熱は接触感染の病気なので、医療従事者に手の消毒を
義務づける事でその発症率を激減させる事ができる」としました。
 
「死体の微粒子(今で言う病原菌)」が医師や医学生を通じて患者に
うつされているのではないかとの仮説を立て、これを立証しました。
当時はまだ病原菌の存在は知られていませんでした。
 
 当時は今日とは違い、医師が診察の前に手を洗う習慣はありませんでした。
解剖の時に接触した病原菌は、そのまま産科病棟に持ち込まれていました。
 
 彼は、ウィーン総合病院で、学生や部下の医師達に手洗いを義務付けました。この時は、サラシ粉(次亜塩素酸カルシウム)の溶液を用いました。
 結果として、医師達が担当する産科病棟での死亡率は大きく低下しました。
 
 ゼンメルワイスは1858年と1860年に「手洗い」についての論文を書き、
その翌年には本を出版しましたが、当時は彼の理論は医学界の主流派には
受け入れられませんでした。
 
 彼の論文は、後にルイ・パスツールの病原菌説につながり、
病気の感染経路の調査方法をも変えていく事になりました。
 
 医師がこまめに手を洗うようになったのは1870年代からの事で、
日常的な手洗いの重要性が広く知られるようになったのは、
それから100年以上も経ってからの事です。
 
 米国で手洗いに関するガイドラインが制定され、公式に健康管理の
一環とされるようになったのは1980年代のことです。
 
 ゼンメルワイスの死後、感染は病原菌によって起こる事が確認
されました。
 今では彼は、消毒法と院内感染予防のパイオニアとされています。
 
 今日の「コロナ禍」おいて、「手洗い」は感染防止の根本です。
「手洗い」以外に、コロナに対しての有効な手段は、無いのでしょうか?
 
 現代にも、ゼンメルワイス医師の様な方が、早く現れて欲しいものです。
 
 *  季語遊び 中七抜きで これも良し
                 2021.03.24.moai291