どういう意味?

「ことば」の解釈斜め読み

「これ何? 玉鋼」

 「何これ? 」:鍛錬
 
 「誠実美鋼を生む。」  (木原 明)
 
  現代の名工の木原明氏は、師匠から
  美しい刀剣を生む「玉鋼(たまはがね)」は、
  誠実な心を持ち、己に厳しく、心身を鍛錬しなければ
  出来ないと教えられた。
  生き方そのものの教えであろう。
 
【閑話休題】:「日刀保たたら」
   日本刀を作るには「玉鋼 (タマハガネ) 」という
   純度の高い「鋼」が必要不可欠です。
 
 玉鋼は日本古来の「たたら製鉄」の技術でのみ製造できるもの。
この技術は、古墳時代以降、1000年以の年月をかけて研究され
江戸時代に「近世たたら」として完成されたと言われています。
 
 この日本刀に不可欠な玉鋼は、昭和8年から昭和20年にかけて
奥出雲町で操業された「靖国鈩(ヤスクニタタラ)」を最後に、
以後ほとんど生産されなくなりました。
 
 この途絶えた技術を後世に伝えることを目的として、
昭和23年当時の文部大臣の認可により公益財団法人
日本美術刀剣保存協会(日刀保)が設立されました。
 
 以来、同協会は美術工芸品として価値ある刀剣類の保存と公開、
重要無形文化財としての日本刀の鍛錬・研磨・刀装製作技術などの
保存と向上に努めてきました。
 
 この取り組みの一環として、同協会は昭和52年に、
旧「靖国鈩(ヤスクニタタラ)」を、「日刀保(ニットウホ)たたら」 
として復活させました。
 
 以後今日まで、「日刀保たたら」は日本刀材料として
唯一正当な、”たたら製法”による玉鋼を生産、
全国の刀匠に供給しています。
 
 この復活には、これまでは、一子相伝でしか伝えられて来なかった
村下(ムラゲ)の秘技を、「日刀保たたら」復活のために惜しみなく
提供したのが、「靖国たたら」で技師長である「村下 (ムラゲ) 」を
勤めた名匠、故・「安部由蔵」氏と、故・「久村歓治」氏。
 
 そして昭和52年、「日刀保たたら」での操業を成功させ、
玉鋼を生み出すことに成功しました。
 
 たたら製鉄の玉鋼は半溶融 (ハンヨウユ) という、炭素が均一に
溶けきっていない状態になっています。
 
 炭素の量が不均一であることが、刀が鍛錬に耐えて美しく
仕上がる理由であることは、現代の研究でもわかっています。
 機械では、この絶妙なムラのある状態を作り出すことはできません。
 
 「低温でじっくりと純度を高めながら作る玉鋼の製法」と、
「高温で一気に作り、あとから不純物を取り除く現代の製鉄」
とでは、根本的な違いがある様です。
 
 現在、「日刀保たたら」では、先代の技術と思いを受け継いだ
木原明 (キハラアキラ) 村下、渡部勝彦 (ワタナベカツヒコ) 村下の2名と、
全国から選ばれた村下(ムラゲ)養成員12名が技術を支えています。
 すごい人達がいたもんだぁ~
 
「日刀保たたら」:〒699-1802 島根県仁多郡奥出雲町大呂529 
          (行って、直接ホンモノを見てみたいなぁ~)
 
 * 大きさは競わぬ小さき宝船
            2022.01.11/moai291