どういう意味?

「ことば」の解釈斜め読み

「生きながら死す (慈23) 」

「生きながら死人となりてなりはてて 

   思いのままにするわざぞよき」   (至道無難禅師)

 

  *江戸時代初期の臨済宗の僧侶。岐阜県関ヶ原に生まれ。

 

 もしも、生前の 「死」 を完全に実現出来たなら、

思いのままに振る舞ったとしても、その行い(わざ)は

よいものであると述べています。

 

 生前の「死」とは、自分のエゴを「無」にすることを

意味するのでしょう。

 

 その意味においては「ありのままの自分」といった言葉

とは全く違います。

 

 「思いのまま」 や 「ありのまま」 の状態が許されるのは

自分のエゴを完全に克服した時です。

「ありのまま」 は決して安易な自己肯定であってはなりません。

 

  「自分はもうこれでよい」 と自分で決めつけて反省することを

やめてしまったならば、人としての成長はそこで終わってしまう

ことでしょう。

 

 常に今の自分の有り様を問い直しつつ、次なる高みを目指して

生きることこそ大切なのだと説いています。

 

   初蛍 川の流れを 知らずして

           2020.06.27 moai291